犬吠埼一介さんによる「Testament ‐テスタメント‐(完全版)」のレビュー

2013年9月6日

犬吠埼一介 作品紹介




犬吠埼一介さんに投稿いただいた、栗見鳴氏の著作「Testament ‐テスタメント‐(完全版)」のレビューです。




犬吠埼一介
栗見鳴さんの「Testament ‐テスタメント‐(完全版)」を読了しました。★5つです。非常に硬派な内容で、刑事が異常な犯罪を推理していく展開がKDPでは珍しくはまります。どんどん先を読んでしまいますね。二人の刑事の個性のギャップも面白い。リアルな描写ってまさにこのことだなと。

KDPでは珍しい、骨太で本格派のサイコサスペンスミステリーです。刑事ものとしても、人間ドラマとしても、社会派の作品としても、綿密なリアリズムが堪能できます。格調高い文体も大変見事でした。非常に幅広い人間描写が面白かったですね。人間とはかくも広範な形態を取れるものなのかという印象を受けました。

主役の二人の刑事の信頼関係の変化の描写も面白いですし、脇役や周辺の人たちに至るまで詳細に描き込まれてますね。ドラマ化して欲しいと思うくらい完成度が高かったです。こうしたサイコサスペンスは、セカイ系のヒロイックファンタジーに比べて執筆に多くのコストが掛かるので、これほどまで書ける人は同人でなかなかいないでしょう。
: Testament ‐テスタメント‐(完全版) eBook: 栗見 鳴: Kindleストア
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