Kindleフォーマットセミナーレポート(3):Kindle本を制作、出版するためのツール、ドキュメント、ビューワ最新情報

2013年11月18日

[記事] KDP Kindleストア


posted by 鷹野 凌

アマゾンジャパンのダンボー

11月11日にアマゾンジャパン本社で行われた、「Kindleフォーマットセミナー」に参加してきたのでレポートさせていただきます。内容は以下の通りです。


  1. Kindle Overview(Kindleの概要)
  2. 商品情報とお客様の利便性
  3. Kindle本を制作、出版するためのツール、ドキュメント、ビューワ最新情報 ← 本稿はここ
  4. Kindleコミッククリエーター(KC2)で作る、簡単マンガ(写真集)制作
  5. Kindle用EPUB制作に関するTipsと注意点

セミナー中の撮影・録画は禁止されていたため、ほとんど文章のレポートになります。



このパートは、Kindle本を制作・出版するためのツールやドキュメントについてと、そのアップデート内容についての説明でした。



ツールとドキュメント

Overviewのパートと若干説明が重複します。Kindle本を制作する流れは、以下のようになります。

  1. Kindleパブリッシング・ガイドラインを読む
  2. KindleとEPUBの違いを把握する
  3. Kindle用のEPUBを作る
  4. KindleGenで変換する
  5. mobiファイルをKindleプレビューツールや実機で確認する

KindleGenとKindleプレビューツールは、原則的に同じタイミングでアップデートされるそうです。そして、これらのツールのアップデートに伴い、Kindleパブリッシング・ガイドラインも更新されます。どれかがアップデートされていることに気づいたら、3つとも確認するようにした方がよさそうです。


KindleGenのアップデート内容

セミナー時点でのKindleGenの最新バージョンは、v2.9 build 0731-890adc2です。同じv2.9でも、build 0523は古いバージョンとのこと。コマンドラインで c:¥>kindlegen でバージョン情報が出るので、確認してみましょう。

最新バージョンでは、表紙画像や目次の指定、固定レイアウト型の宣言や描画領域・見開き・縦横表示の指定といった、Kindle独自の仕様やEPUB 2の仕様が、EPUB 3の仕様に沿う形になったとのことです。古い仕様と新しい仕様が両方指定されている場合は、新しい仕様が優先されます。

ただし、固定レイアウト型のバーチャルパネル(拡大表示時の進行方向)は、Kindle独自仕様なので指定する必要があるそうです。primary-writing-mode を指定しない場合(virtical-rl)は 右上・右下・左上・左下の順(4コマ漫画などはこの方がいい)、horizontal-rlにすると右上・左上・右下・左下の順(普通の漫画のコマ割りは、この順番の方が読みやすい)になります。

また、最新バージョンでは入力ファイルフォーマットとして、XMDFをサポートしています。-intermediate_only オプションを指定すると、中間ファイルとしてEPUBファイルを生成します。コマンドラインの記述は「kindlegen -intermediate_only (filename)」です。

なお、ファイル容量の制限は、KindleGenで変換して650MBになったそうです。ただし、KDPは50MB制限のままです。撤廃の検討はしているけど、いつになるかは分からないそうです。残念。


Kindleプレビューツールのアップデート内容

セミナー時点でのKindleプレビューツールの最新バージョンは、v2.92です。ヘルプの[Kindleプレビューアについて]でバージョン情報が確認できます。

最新バージョンでは、2013年モデルのKindle Paperwhite、Kindle Fireシリーズのプレビューが可能になり、iOS用のazkファイルの生成も可能になっています。iOSの実機確認は、iTunes経由でファイルをコピーするのがいいそうです。Androidアプリ用のプレビューはないので、実機でご確認下さいとのことでした。


Kindleパブリッシング・ガイドラインのアップデート内容

セミナー時点でのKindleパブリッシング・ガイドラインの最新バージョンは、version2013.3版です。バージョン情報はPDFの表紙に記載されています。2013年3月更新ではなく、2013年の第3版とのことです。

変更点はかなり多いですが、わりと重要だと思うのでそのまま列記しておきます。

  • 3.1.1 テキストガイドライン#1: 本文では必ずデフォルトを使用する
    • 文字色を強制的に指定しないで下さい。また、一部の文字色を指定する場合、明るすぎる色、暗すぎる色は避けてください。
    • 背景色を強制的に白、または黒に指定しないでください。
    • お客様はフォントを選択できることを好むことが報告されています。
  • 3.1.7 テキストガイドライン#7: CSSのサポート
    • コンテンツが画面外にはみ出したり、他のコンテンツと重なるのを防ぐために、マージンには0位上の値を指定してください。
  • 3.1.9 テキストガイドライン#9: フォント選択をカスタマイズする
    • フォントの正しい指定方法と誤った指定方法を説明しています。
  • 3.2.2 カバー画像ガイドライン#2: 内部コンテンツのカバー画像は必須です
  • 3.2.3 カバー画像ガイドライン#3: 内部内容コンテンツのカバー画像は二度表示されない
  • 3.3.1 TOCガイドライン#1: 論理TOCをお勧めします
  • 3.3.3 TOCガイドライン#3: HTML TOCの参照
  • 3.4.1 ランドマークナビ要素ガイドライン#1: 推奨ランドマークナビ要素
    • EPUB 3の仕様に沿った指定方法を説明しています。
  • 3.7.2 表ガイドライン#2: 大きな表を避ける
    • 表が大きすぎる、または各セルのテキストが多すぎる場合、表を画像で表現するのではなく、通常のテキストで表現する方がお客様の読書体験は向上します
  • 3.10.3 HTMLガイドライン#3: 電子書式フォーマット(EPUB)
    • GuideはEPUBのオプション機能ですが、使用することを強く推奨します。
    • Kindleは、表紙、目次、及び読書開始位置の指定をサポートしています(3.4.1のEPUB 3 landmarksで同じ指定をサポートしています)。
  • 5.1 固定レイアウトのブックに対応するメタデータフィールド
    • EPUBの仕様に沿った指定方法を説明しています。
  • 6.17 カスタムサンプルファイル
    • Kindleはサンプルファイルを自動的に生成しますが、任意のサンプルファイルを制作、配信することも可能です。
  • 9.1 Kindleブックのテスト
    • 小さい画面、大きい画面、低解像度の画面、高解像度の画面など、お客様はさまざまなデバイスで本を読むということを考慮し、できる限り多くの機種で検証してください。
    • お客様が好みのフォントを選択できるようにしてください。
    • 特定のフォントを使用する場合、3.1.9を参照し、正しい方法で指定してください。
    • 背景色を変えても、文字が読めることを確認して下さい。
  • 11.3 別表C: XMDFからKF8に変換するためのガイドライン
    • XMDFからKindle Format 8に変換するための方法、および注意点がまとめられています。

ビューワのアップデートにともなう制作上の留意点

Kindle端末の2013年モデルが発売されていますが、とくに画面解像度が変わっている点が注意すべき点です。Kindle Fire HDX 8.9は2560×1600で339ppiと、紙の品質に近くなっています。だから、より高解像度の画像を使用する必要があります。これは、コンテンツの表紙や本文中はもちろん、商品ページ掲載用の画像もです。

また、Paperwhite 2013限定ですが、新機能のIn-line-Footnotesにより、本文画面で脚注をポップアップ表示できるようになりました。これにより、脚注リンクの有用性が高まっているそうです。本文から脚注、脚注から本文に、相互リンク指定をするといいそうです。

これもPaperwhite 2013限定ですが、新機能のPage Flipは、ページを簡単にプレビューして移動もできる機能です。これによって目次の有用性も高まっているので、目次の指定は強く推奨されるそうです。

あとは、辞書機能や検索機能も強化されているので、「文字コンテンツはリフローで!」というのを強調されていました。