posted by 鷹野 凌
『月刊群雛 (GunSu) 2014年06月号』には、夕凪なくもさんの新作小説『贖罪』連載第2回が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? インタビューの一部を公開します。
──失われた大切な「何か」を求めて、刑事はさまよう
『贖罪』第2回
まず簡単に自己紹介をお願いします
夕凪なくも(ゆうなぎ・なくも)です。五月号に引き続き、連載枠として参加させていただきます。
三月号には拙著『if』のサンプルを、四月号にはそのサイドストーリーを掲載させていただきました。
主にTwitterで好きなことを気ままに呟いています。
アカウントは@sazamekunami1です。私の著作に関する情報も時々ツイートしますので、どうぞお気軽にフォローしてください。
現在Kindleストアで五作の電子書籍を販売しています。
刊行順に、
・関西を舞台にしたファンタジックで、ちょっぴりノスタルジックな短編物語二編と、高校時代に書いたショート・ショートを含む、『短編集「ジャンジャン横丁」』
・実験的な法廷エンターテインメント、『またキミを好きになる』
・ミステリと銘打ちながらも、ある方から「{群像劇}(ぐんぞうげき)」と指摘された問題作『ただ人のぬくもりを』(五月号にも書かせていただいた通り、私は叙述ミステリのつもりで書きました)
・ライトなSF『if』
・同じくライトなSF『パニック』
最新作『パニック』は前作『if』の変奏曲にあたる小説です。
ジャンルが不明な({曖昧}(あいまい)な)小説を好んで書く傾向にあるので、拙著を{一概}(いちがい)にジャンル分けすることは難しいです。
◆Twitter:
https://twitter.com/sazamekunami1
◆Amazon著者ページ:
http://www.amazon.co.jp/-/e/B00G7DPSDS/
この作品の内容を簡単に紹介して下さい
連載枠という初めての試みなので、あまり多くを語るとネタバレになってしまう恐れがあり、どこまで書くか難しいですが、本作はミステリです。
その中でも警察小説にジャンル分けされるものです(と書くと、警察小説のプロの方やマニアの方からお叱りの声が聞こえてきそうですが)。
諸田徹という奉職三十年の県警刑事課のベテラン刑事が、か弱き女子児童への卑劣な犯罪に直面して、刑事ですので当然解決を目指します。ところが一方で彼の家庭は冷え切って問題も抱えていて……というストーリーです。
本作には白ロムやSIMカードといったキーワードが登場します。現在ではより安価で新しいスマホの入手方法として、また新しい犯罪の形態としても広く知れ渡った言葉のようですが、この作品を書いた当初(六、七年前)にはまだきわめて珍しい言葉でした。
従って白ロムやSIMカードの本作での使い方も、現代的ではないかもしれません。昔、ネットや本で一所懸命になって調べた知識を浅薄ながら、物語に応用させていただきました。
それをさらに「今風にアレンジ」というか手直ししたのですが、上手く物語に溶け込んでいることを願うと同時に、六、七年前の携帯(フィーチャーフォン)の最先端の技術が、今のスマホでは当然のように利用されていることに、ITが好きながらもあまり詳しくない私は驚きを隠せません。
この作品を書いたきっかけを教えて下さい
前号でも書かせていただいた「山本直樹(やまもと・なおき)さんへのオマージュ」と、「ミステリの習作」。
その他に、「内容紹介」の所でも書いた白ロムやSIMカードといった、当時の携帯(大部分がフィーチャーフォン)の最先端の用語を、どうしても小説内で使ってみたいという欲求もありました。
基本的に新しいことを取り入れることが好きなのですが、それが故に時間が経つと、途端に古臭くなってしまうことがあるのが、私の作品の大きな欠点の一つです。
幸いSIMカードは未だにスマホでも使われる言葉なので、本作では通用してよかったです。
この作品はどんな人に見て欲しいですか?
普段ミステリや警察小説は読まない、あるいはあまり好きじゃない、という方にこそむしろ読んでいただきたいです。
私自身、いわゆる「本格ミステリ」やバリバリの警察小説が、あまり好きではありません。どちらかというと「緩いミステリ」や「緩い警察小説」が好きです。
この「贖罪」はバリバリの警察小説のつもりで書きましたが、結果的に先に述べた「ゆるジャンル」のミステリに仕上がっていると思うので(私が単にミステリの本質を分かってないのではないか、というご批判もあるかもしれませんが)、どうか是非気楽なお気持ちでお読みになってください。
夕凪なくもさんの新作が掲載されている『月刊群雛 (GunSu) 2014年06月号』は、好評発売中です