連載小説『激闘!宇宙駆逐艦』第3回が『月刊群雛 (GunSu) 2014年10月号』に掲載! ── 米田淳一さんへのインタビュー

2014年9月26日

[作品情報&著者情報] 月刊群雛 米田淳一


月刊群雛 2014年10月号表紙

『月刊群雛 (GunSu) 2014年10月号』には、米田淳一さんの新作連載小説『激闘!宇宙駆逐艦』第3回が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? インタビューをご覧ください。





── まず簡単に自己紹介をお願いします。


YONEDENこと米田淳一(よねた・じゅんいち)です。『月刊群雛』ではいつもお世話になっております。

SF小説『プリンセス・プラスティック』シリーズで商業デビューしましたが、自ら力量不足を感じ商業ベースを離れ、シリーズ(全十四巻)を完結させパブーで発表中。他にも長編短編いろいろとパブーで発表しています。KindleストアやBCCKSでもがんばっていこうと思いつつ、現在事務屋さんも某所でやっております。でも未だに日本推理作家協会にはいますし、また、鉄道模型なんかを作るモデラーなこともしてます。

ちなみに『プリンセス・プラスティック』がどんなSFかというと、女性型女性サイズの戦艦シファとミスフィが要人警護の旅をしたり、高機動戦艦として空や宇宙をびゅんびゅん飛び回る話です。艦艇擬人化の『艦これ』が流行ってるなか、昔書いたこの話を持ち出す人がときどきいますが、もともと違うものだし、私も『艦これ』は、やらないけど、私としては好きです。でも、私はこのシファとミスフィを無事に笑顔で帰港させるまで『艦これ』はやらないと決めてる、と以前書いたのです、が。

それがなんとシファがその力を恐ろしいことに使うなんて。『まあ、なんということでしょう!』 それも、もはや宇宙をゆく巨神兵?状態という凶悪さ。ヒドイっ!

ひそかにそういう話にした私の鬼畜さに私自身が戦慄してます。


◆公式サイト:
「モデラー推理・SF作家米田淳一の公式サイト・なければ作ればいいじゃん」
http://ameblo.jp/yonebor/


── この作品の内容を簡単に紹介して下さい。


じつはこれ、『プリンセス・プラスティック』のセルフパブリッシング版最終十四話の話を別の視点から見てることになります。

『プリンセス・プラスティック』最終十四話は普段どおり主に戦艦シファと、その恋人である内閣調査庁の鳴門調査官の視点からその出来事を見ているのですが、この話、『激闘!宇宙駆逐艦』は、そのシファの暴走というかなんというかに苛烈な虐殺にあった米宇宙艦隊(第十二艦隊)の、平凡な宇宙駆逐艦〈ミッチャー〉の兵装長兼副長の視点から、その艦長とともにその状況を見る話です。

すまないことに十四話は昔に書いて作りがまだ甘いので、若干この『激闘!宇宙駆逐艦』のほうがより細かく(『あざとく』とも言う)演出してます。十四話書いたのが今から五年近く前なので、すみません。これからなんとか十四話もこの水準以上でリメイクします。何とかの知恵は後から回る。つまりはそういうことです(ヒドイ)。

次回でこの話は終わります。そこでさらに全部お話ししますが、今回の本文読んで、「あ!これって!」と思うことがいっぱいあると思います。はい、ぶっちゃけそれがやりたかったんです。そのために『プリンセス・プラスティック』を延々と仕掛けてきたのです。シファのワームホールをつかった量子実装システムも、そのためなんです。中学生の頃に出会い、素晴らしいと思ったそういうものへの恩返しでもあるんです。

また、同時に、米海軍から見た日本海軍と海上自衛隊の話でもあります。日米海軍は、日米同盟や日本政府・米政府ともまた次元の違うお付き合いをしています。それは太平洋で空母機動部隊同士の叩き合い、猛烈な水雷戦を戦い競ったうえでのリスペクトでもあるんです。そのことは海上自衛隊にいた父にも、その後輩の方にも伺っています。

ただ……最近、なんとなく、それも歴史の向こうにあせていってしまうのかな、と思ってしまうことがあります。悲しいことですが、現状の米政府の国際情勢への対応と、日本の尊厳の回復の動きが、やや行き過ぎに向かっているように思えてなりません。

尊厳は大事です。ただ、歴史に学ぶには謙虚さは絶対条件です。そして、人工衛星が飛び回り無人機が監視できる今も、それができなかった昔、さらには空も飛べず海をゆくのがやっとだった時代も、国際情勢は正義や尊厳ではなく、事実と地政学にしか基づかないんです。それはつい最近のアメリカの「チェンジ」だの「アラブの春」のうかれた騒ぎの結末を見れば明らかなことです。

技術がどんなに進歩しようとも、人の心が何に動き、何にまどうかの本質は変わらない。

それが『プリンセス・プラスティック』のテーマなのですが、この『激闘!宇宙駆逐艦』はそれを現時点での私の力で精一杯に描いたものです。



── この作品を書いたきっかけを教えて下さい。


『なつかしい戦記』をやりたいとしましたが、徐々にその上に『やってこなかったこと』、私の『本当にやりたいこと』をやりたいなと思ったのがさらに深い動機になってます。



── この作品はどんな人に読んで欲しいですか?


ここまで二話掲載させていただきましたが、読んで『おや、意外とイケる?』と思ってくださった方がいたらとても嬉しいです。そういう方に向けても書こうと頑張ってます。面白がってくれる方を増やすのは書き手の使命ですから。



── この作品の執筆にはどれくらい時間がかかりましたか?


原稿は連載開始時点ですでに編集さんたちにすでにお渡ししているのですが、修正をそのあと加えています。

前回はそれが蛇足になりそうで怖い、と書いたのですが、今、その段階を過ぎました。もう自由になって、ガンガン修正してイケイケドンドンになってます。

蛇足ではない展開、さらには超展開までイケるかなと。ただ私はチョーシこいちゃって毎回それでドン引きされる傾向があって、少し抑制していたんですが、でもここへの掲載はやはり貴重な機会です。

というわけで遠慮も抑制ももうありません。全力発揮しかないです。

そのためこの『月刊群雛』七月号への一章掲載(六月)のときには最後までできていたのですが、今回はここまでの時間三ヶ月以上を有効に使ってじっくり書き込んでいます。



── この作品を書くにあたって影響を受けた作家や作品を教えて下さい。


前回から引き続いて『激闘!駆逐艦隊』が一番ですが、書き始めたらきりがないほどいろんな戦記モノなどの影響をバンバン受けてます。その他の、さらに他の分野、小説以外のものにも全部恩返しするつもりで頑張ってます。

SFってのは、本来そういう自由でクロスジャンルなものだと思っています。それゆえにとても難しく、だからこそ読んで独特な楽しさのあるものだと思うのです。



── 注目している作家がいたら教えてください。


四〇歳にもなると、と書いた前回から、今、誕生日を過ぎて四十一歳になってしまいましたよ……。

いわゆるもう『初老』ですよ。ぎゃああああああ。

読めるものは今のうちに読んでおきたいのですが、やはり体力と目が……。



── 今後の活動予定を教えてください。


前回に続き、『プリンセス・プラスティック』の早川版五巻、講談社版のリメイク一巻を含んだ十四巻シリーズを電子書籍としたうえで、内容を強化した「HD版」として出し直すのが、まず現状での目標です。

この場合の『HD』とはなんぞや? というツッコミを頂きましたが、まあ内容的にもCGの解像度的にもHDにしてます(謎)。『今思えばここ本当はもっと面白いシーンだよね』というのに今更気付いてやり直したり。

目下それで『デカップルド・ディフェンス』の今の私の基準による強化向上を行っています。

今のところ早川で出した五冊目『ハリアー・バトルフリート』まではそういう感じで改善してます。


それと、『小さなアッセンブリー』という中編小説をBCCKSとそのストア配本で七月初めから発売しております。田舎町にいるニートな女の子が市議選の供託金が〇円なのに気づいて、面白半分で出馬したらなんと当選してしまうけど、市議という仕事は実は……という話です。もしご興味があれば、どうぞ。


やっぱり、はじめに私の『人生の仕事』としようとした『プリンセス・プラスティック』が、本当にそのとおりになりそうです。

もしご覧いただけたら光栄です。



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