特定非営利活動法人(NPO法人)日本独立作家同盟の設立趣旨書です。
特定非営利活動法人日本独立作家同盟は、
- インディーズ出版分野で活動する会員相互の協力により、
- 伝統的手法では出版困難な作品の企画・編集・制作支援などを通じて品質向上を図り、
- 著者の育成と知名度向上・作品の頒布を促進し、
- 読者と著者のコミュニケーションを活性化することで、
- 多種多様な出版文化の振興に貢献します。
出版業界の現状と課題
商業出版は、出版社から印刷・取次を経て書店で紙の本(書籍や雑誌)を販売する伝統的な出版手法で、いわば「メジャー」流通です。しかし、商業出版の流通に関与しているのはみな営利企業なので、出版行為によって収益を上げる必要があります。
競争原理が強化された結果、著者が出版企画を持ち込んでも、短期間で数千部以上の販売が見込める「売れそう」な本以外は企画段階で没になる傾向が強くなったり、逆に、ある程度安定した売上が見込めるベストセラーの類似書ばかりが次々に出版される傾向が顕著になったりといった状況も散見されます。
その一方で、商業出版に頼らずに、同人誌即売会や同人ショップ、インターネットを利用したセルフパブリッシング(自己出版)など、「インディーズ出版」と呼ぶべき領域が徐々に拡大しつつあります。誰もがその気になれば、さほどコストをかけずとも出版「者」になれる時代が到来したのです。
ところがインディーズ出版では、これまで出版社が果たしてきた重要な役割である、企画、編集、校正、校閲、デザインなどといった制作工程が、コストや知識・リソース不足によっておざなりにされがちで、ユーザーからは品質や信頼性に対する不安や不満の声があります。また、マーケティングやプロモーションも、一人でできることには限界があります。著作権や商標権など法務面においても、知識不足によるさまざまなリスクを抱えているのが現状です。
申請に至るまでの経過
上記のような課題解決を目的とし、既存の出版社に頼らず作家同士が助け合いながら作品を世に出していくための集団として、2013年9月1日に任意団体「日本独立作家同盟」を発足しました。参加者相互の協力により、インディーズ出版に関する情報発信、オンライン・コミュニティの運営、参加者の知名度向上と作品の頒布促進を目的とした定期刊行物『月刊群雛』(げっかんぐんすう)の発行などの活動を行い、参加者数は200名を超えるほどになってきました。
しかし、公正かつ透明性の高い運営を行い幅広く活動をしていく上では、任意団体より法人の方が社会的信頼を得られます。また、活動を安定的に持続・発展させるには、組織に一定の収入が必要となります。ただ、出版行為によって収益を上げることは目的ではないため、会社法人の形式は似つかわしくありません。そこで、従来の活動を継承・発展させ、特定非営利活動法人を設立することにしました。活動の財源は寄付に頼るのではなく、活動目的に賛同して入会した個人及び団体からの会費、事業を賛助するために入会した個人及び団体からの会費、ウェブメディア事業への広告掲載、セミナー事業などによって贖います。皆様のご理解と幅広いご支援をお願いいたします。
設立代表者 鷹野凌